豪雨の中の中世城郭探訪
▲烏山城から烏山市街を望む
約2千人規模の東京にある高校同窓会の事務局の事務を担当していた時、文化活動の一環として立ち上げたのが中世城郭探訪という企画でした。数年間活動し、晴れ男の異名を取っておりましたが、唯一豪雨に見舞われたのが、烏山城訪問の時でした。
東京を出発する時から降っていた雨は、東北本線を北上中も一向にやむ気配はなく、降り立った烏山駅は土砂降りの中でした。こういう時は、折角足代を掛けて来たんだからという経済観念が発達している女性陣の意向に従い、傘をかざして出発しました。
その1年前、この企画で八王子にある滝山城を訪れる日は低気圧で朝から豪雨との予報が、前日まで出されていました。しかし、俺は晴れ男だというなんの根拠もない理由で決行。案の定、その日は快晴で、しかも秋だと言うのに夏日に近い暑さでした。そのときに得た「俺は晴れ男」だという妄信は、信念にさえなっていました。しかし、烏山城訪問は予報どおりの土砂降り。私の神通力を無にするような、強力な雨男(女?)が参加していたことは間違いありません。
降り続ける雨が弱まる気配は全くなく、しかも雨量が多かったもので、出発して30分も経つと、城跡に辿り着く前に足元はビショビショ。更に山道は泥濘にはなっている上に、覆いつくしている木の葉や水を吸った草のために、靴の中まで濡れてしまいました。当然、辿り着いた本丸は雨雲の中で、周りは視界が10mあるかないかというもやに包まれていました。晴れていたら、連郭式の見事な遺構が見られましたし、本丸からは眼下に烏山の町と那珂川の豊かに流れる眺めを堪能出来た筈です。
早々に切り上げて、市内にあった山あげ会館(大掛かりな野外セットで有名な山あげ祭りを紹介している)と、予め申し込んでいた造り酒屋が使用している山中の酒蔵(戦時中に作られた防空壕跡で、疎開して来た戦車工場は生産を始める前に終戦になったようです)を見学させて貰いました。
この二つの見学があったのでブーイングは起きませんでしたが、ただ1回の雨の城郭探訪として、記憶されることになりました。帰りは宇都宮駅で途中下車して宇都宮餃子で打ち上げ。食べているうちにズボンは乾き、ほろ酔いにて帰京しました。
ということで、山あげ会館と防空壕を転用した酒蔵の見学がお勧めの城郭探訪の紹介でした。なお、掲載している晴天の下での写真は、以前、個人的に訪れた時に撮ったものです。
▲造り酒屋が酒蔵に転用した防空壕
▲造り酒屋の旧防空壕を転用した酒蔵
▲烏山城雨の城郭探訪
▲烏山城全景
▲烏山城麓にある三の丸
▲烏山城本丸石垣