自分亡き後ブログ、SNSをどうしますか?
プロローグ
自分にもしものことがあった場合に備えて、資産や連絡先、医療や介護の希望、葬儀や相続関係についてエンディングノートなどに記載している方も少なくないでしょう。エンディングノートにあるこうした記載項目は、仮に記載されていなくても、誰かが決めて何らかの処理をしてくれます。この点、故人のブログやFacebookなどのSNSは、存在自体を遺族が認識していないことも多く、何の記載もなければ放置されることになるでしょう。実際、ネットの世界では、主を失ったホームページやブログ、書き込みの数々が、亡霊のように彷徨っています。
今や、年配の方も普通にインターネットを利用しています。自分亡き後も、ネット上に個人情報や、書き込み情報が残ることを、どのように感じるのでしょうか? ある企業の調査によれば、情報を消したいと考えている人が7割を超えているそうです。ちなみに、遺族の側では残したい、消したいが拮抗するという結果。 SNSを日常的に使用している方は、やはり自分が現実世界で亡くなった後のことも考えておくべきなのではないかと思います。
ネットの世界で情報や書き込みが残るということ
ミクシィの場合は匿名登録ですが、Facebookは原則実名ですし、生年月日や住所などの個人情報をはじめ、学歴や職歴、過去の出来事などが詳細につづられているケースも少なくありません。悪用されたり、データを改ざんされたりする危険だってあります。ネットでは意図を誤解され、いわれない誹謗、中傷にさらされることもありますが、もはや本人に弁明の機会はありません。また、その時はそう思ったけれど、後になって不適切な記載だった、書くべきではなかったと後悔しているというのもよくある話。亡くなってしまえば、もはやそれを改めることもできないわけですね。私など、自分が責任を取れない状況で、過去の書き込みが独り歩きすることに恐怖を覚えます。
ネット各社の対応
ネット各社の対応ですが、一般的には親族が死亡を証明する書類などを提出して申請すれば、アカウントを削除することになっているようです。なりすましを防ぐために、署名付きの公文書の提出等かなり面倒な手続きが必要になるケースも。でも、そもそも遺族がブログやSNSの存在を知らなければ、手続きをすることもないでしょうし、遺族にとっては、財産や相続関係のことに比べたらネット上の書き込みなど大した問題ではないかもしれません。仮に存在を知っても、そこに故人の懐かしい思い出、人生の軌跡が刻まれているから、そのままにしておきたいと考える人だっているでしょう。となると、ネットの世界から自分の亡霊を開放できるのは、自分しかいないと考えるべきなのでしょう。
ネット先進国のアメリカでは、利用者が生前に手続きできるサービスがあります。利用者の複数のアカウントやパスワードを暗号化したうえで一元管理し、指定した「デジタル相続人」が死後の対応を行うというものです。日本では、まだそうしたサービスが行われていないので、遺族の対応に委ねられています。SNSをよく利用し、ブログを発信しているという方は、自分亡き後、どのようにしてほしいのかエンディングノートに書いておくことをお勧めします。エンディングノートは、書かなければ誰もわからない、判断しようのないことこそ書いておく必要があるのです。
Facebookの追悼アカウント管理人
自分が死んだらこのFacebookアカウントはどうなるのだろうという不安を解消するため、たとえばFacebookには「追悼アカウント管理人」という機能があります。どのようにして設定すればいいのか、見てみることにしましょう。
Facebookによれば「追悼アカウント管理人」には、「追悼と表示されたタイムラインで一番上に表示される投稿(例えば、葬儀のお知らせや特別なメッセージを表示するなど)」「まだつながっていなかった家族や友達からの友達リクエストへの対応」「プロフィール写真とカバー写真の変更」の操作が可能になるといいます。では、どのように設定するのか。
まず、Facebookの「アカウント設定」から、「セキュリティ」をタップして開きます。すると、セキュリティ設定の項目の下から2番目に「追悼アカウント管理人」という項目があるので、これをタップします。ここから「追悼アカウント管理人を選択」で管理人を選択できます。
「追悼アカウント管理人を選択」からFacebookでつながっている友人や家族を選択すると、その人が追悼アカウント管理人に指定されます。ここで「指定した人に対してメッセージを送信」という画面が出ます。ここで、どういう理由、想いで管理人となってほしいか気持ちを伝えるということになります。ただ、いきなり追悼アカウントの管理人に指定されても困る、そんなの重すぎると考える人だっているでしょう。やはり、ネット上だけですべて済ませようとせずに、実際に会って話してお願いするべきなのではないでしょうか。今すぐメッセージを送りたくなければ左下部の「後で」を選択すれば送信されません。
ネット上の記録を完全に削除する
そもそも自分亡き後は、個人情報を含め、過去の記述、画像の一切を消し去りたいと考える方もいるでしょう。その場合は、「アカウントを削除」も用意されています。こちらは、管理人を指定しない代わりに、死後にアカウントを完全に削除するというもの。自分のアカウントを他人の裁量に任せたくない人は、こちらを選択することができます。「あなたが亡くなったという報告があった後は、誰もあなたのプロフィールを見ることができなくなります」との説明が書いてあります。ということは、いずれにせよ、誰かがFacebookに死亡したことの報告はする必要があるということでしょう。
個人的にはネット上の書き込みは完全に消去してほしいと思っていますが、遺族や友人が訪れることができる「場所」を用意したいと考える人もいるでしょうFacebook以外にも会社によっては、「追悼アカウント」として、一般には公開されない特別なアカウントを用意してくれるところもあります。命日や、誕生日に、お墓参りをするように、「追悼アカウント」を訪問することもあるのかもしれません。そう思うと、SNSの内容も、時々見直してみる必要がありそうです。特に「追悼アカウント」を設定するのであれば、突然亡くなった場合に備え、あまりにまぬけな写真や、過激な発言を残しておくことは問題でしょう。未来の孫たちにだって見るかもしれないのですから。